葉山町アカウミガメ産卵~孵化~脱出(編集中)

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8月3日
葉山町役場から連絡をいただき、葉山公園わきに上陸したウミガメの卵の確認に行きました。
卵の有無を掘り起こして確認する時は、産卵巣が乾いたり熱くなりすぎないように水や霧吹きを持ってゆきます。
このウミガメは葉山公園の石垣に突き当たり、一度は海に戻りかけていましたが、
石垣が途切れる場所で何とか産卵してゆきました。

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9月4日
8月中は漂着したウミガメ死骸の解剖調査と埋設に追われ猛烈に忙しく、
あまり訪れる事ができませんでした。
柵は卵確認後に葉山町の産業振興課に設置していただきました。
かながわ海岸美化財団と下請け業者さんにも連絡をとり、重機清掃などの留意をお願いしました。
県土木事務所には葉山町の産業振興課から連絡をとっていただきました。

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10月5日
そろそろ孵化がはじまる頃なので、深い轍などがあれば埋めるつもりでしたが、砂浜は平穏です。

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10月8日朝
台風18号(MELOR)の猛威により、産卵巣は冠水したあとでした。
あまり長時間冠水せず卵の流出は起きていないようでした。
時期的には子ガメの大半は孵化を終え、卵黄を体内に吸収しつつウダウダしている頃だと思います。

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10月9日朝
台風も去り、産卵巣の前に打ち寄せられたゴミもわずかだったので、
両脇へ寄せて子ガメの道を開けておきました。

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10月10日朝
自発的に始まったビーチクリーンで、産卵巣のそばにゴミが集積され始める。
まずいなあ、と思いつつも台風後の片付けに戻る。

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10月11日早朝
様子を見に行ってみると、産卵巣の前にゴミが山積みにされてしまっていた。
これではせっかく台風を生き延びた子ガメが出てきても、海まで行けない。
片付けたいが台風後の対応で時間がない。実に悔しい。

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10月12日朝
片付けに来てみると、すでに誰かがゴミを寄せてくれていた。
産卵巣を良く見ると、子ガメが数匹はい出たあとがあるが海へは続いておらず、
鳥の足跡の中で消えてしまっている。右往左往しているうちに喰われてしまったようだ。
意外な方向に迷い出て干からびたり、人に踏まれる子ガメはいるものだ。
慎重に探してみると、ゴミに阻まれてひっくり返っている子ガメが1匹だけ生きていた。
真昼の浜を歩かせるわけにもいかず、波打ち際で放すと波に負けないいきおいで
泳ぎ始めた。貴重なフレンジーの時間は残っていたようだ。
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徹底的にゴミ山を移動し、傾斜を工夫して子ガメがゴミ山に向かわないようにした。
ゴミ山が月明かりをさえぎらない工夫もしたが、子ガメの目線は低いので難しい。

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10月15日早朝
またゴミが子ガメ道をふさいでいる!

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10月28日夕方
12日以後脱出は無く海も穏やかになったので、日暮れ前に掘り返し孵化調査を始める。
また、終息した頃でも瀕死の残され子ガメはいるものなので、退避穴を掘り犬避けを周知する。
ところが予想以上に、冠水を耐えて生き埋め状態の子ガメが多く、退避穴をひろげることに。
生きていた13匹の子ガメは日没を待って解放しましたが、一番元気な個体でも自力で水際までは行けませんでした。
結局、子ガメのナビ能力獲得には悪そうですが水際で解放しましたが、
波を乗り越えて泳ぐ力もなく、この子ガメ達は「約束の地」へたどりつくこと無く死んでしまうでしょう。

まとめ
孵化率は9割5分と、このうえなく上々でした。
脱出成功率が低く、孵化後に死んでいる子ガメが多かったのは台風による冠水のせいだと思います。
数十年ごとに大きな台風が海岸をかき回してゆくのは自然の事なので、
ヤマが外れた産卵巣がこうなるのはしょうがない事です。
時期や場所をずらして何回か産卵するのがウミガメの戦略なので、
ヤマが当たった本隊が元気でいると良いですね。

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