まとめ2005

■ウミガメ類■
-概要
大雑把に言ってしまうと「5月から9月にかけて、鎌倉から茅ヶ崎を中心に、
甲長70cm前後の栄養たっぷりで健康そうなコドモのアカウミガメが、
腐敗した死骸として、600mに1頭の割合で漂着した。」という感じでした。

-特徴
2005年の特徴としては「三浦市南部の漂着が減った」
「7月末に集中的な腐敗死骸の漂着があった」ことです。

-所見
腐敗していて死因は判らないものばかりですが、
死因不明なうちでは「胃炎」が1件、「食道に釣バリが刺さっているが
致命的ではないもの」が1件ありました。
死因が判ったなかでは溺死が3件ありましたが、なぜ溺れたのかは不明です。
また、肉眼では何も異常が見つからないものも1件ありました。
「人工物の誤食によって死んだ」と判断できるものは、今年もありませんでした。

 
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葉山御用邸付近で産卵があり、
6月28日に142個収容され8月25日に孵化し9月20日に放流されました。
2002年9月に久留和で自然孵化があった際と同様に、
母ガメを誉めてあげたくなる、絶妙な場所での産卵だったので
人工孵化はちと残念なことでした。

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7月11日に茅ヶ崎漁港の西に漂着していたアカウミガメ死骸は
オトナのメスで、体内に卵を持っていました。
また、マグロ延縄で使うものに似た釣バリが食道に刺さっていましたが、
致命傷ではありませんでした。

■鯨類■
2005年はいつになく漂着が多い年でした。
解剖調査に参加した際には所見もいただいていますが、
ソナーなどの人為や天変地異を疑う必要はなさそうです。
、、、と個人的に思います。

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4月15日熱海袖ヶ浦(静岡県)のマッコウクジラ。
3月から相模湾を漂流していました。

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熱海のマッコウクジラの下顎の歯。若いので歯根が閉じていません。
下顎歯は下田海中水族館に収蔵されました。
埋没している上顎の歯も年齢査定のために採取して国立科学博物館におさめました。

4月16日横須賀市斉田浜のスジイルカ。

2月16日湯河原町福浦漁港そばのカマイルカ。
冷凍され解剖調査じたいは4月17日になりました。


流出して6月4日に七里ヶ浜に再漂着しました。


5月30日逗子市大崎のカマイルカ。
6月4日に七里ヶ浜に再漂着したカマイルカ。

7月27日には横須賀市長井にツチクジラが座礁後死亡し、
深夜まで解剖調査がおこなわれました。
写真は一夜明けた調査現場。

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10月21日に二宮町に座礁後死亡したハッブスオウギハクジラ。
「普通の生き物の普通の暮らし振り」はキチンと調べなければいけませんが、
ハッブスオウギハクジラは極めて珍しい鯨類です。
日本近海では6例目?の報告となり、キチンと解剖調査されたのは
2003年の茨城県につづき2例目?となります。

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10月25日に横須賀市秋谷に漂着したスジイルカ。
調査側に連絡がまわらず、そのまま埋設され、残念なことでした。
相模湾沿岸にやって来るようなスジイルカは捕獲によって激減したらしく、
沖合いにいるスジイルカとどう違うのか、どう同じなのか、まだ不明なままです。

■鳥類■
今年も5月中旬からハシボソミズナギドリの多数漂着があり、
死んで間もないものだけ30羽解剖調査しましたが、
「脂肪が少ない事」以外特別な所見は得られませんでした。
他には、オオミズナギドリでは成熟卵胞をもつもの、
ウミウでは気嚢に腫瘍があるものもいました。
キチンと鳥類を調べるために、さらなる研鑚の必要を強く感じています。
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■番外■
6月にはアサギマダラがスナビキソウに群がる所を観察できましたが、
県内でスナビキソウが自生している所はごくわずかです。
11月には貴重な自生地も戦争遺物の掘り出しで大きく荒れてしまいました。
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